📖『一歩踏み出したら、景色が変わった夜。』 19夜

🍸 BAR PRIMO 夜話──深夜0時の処方箋
副題:『景色は、あとから追いついてくる。』

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🕛 冒頭ナレーション
深夜0時すぎ。
何か大きなことは起きてへん。
でも、
同じ道のはずやのに、
看板の色が違って見える時間。
答えは出てへん。

ただ、
足の裏だけが
「前に出たで」って知ってる夜。

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🕛 AM 0:07🍺 酔っ払い
──景色のズレに気づく夜──

🍸マスター
「なぁバッカス、
一歩出た人ってな、
だいたいこう言うねん」

🍷バッカス
「何て?」

🍸マスター
「“別に何も変わってないです”って」

🍷バッカス
「それ、
一番変わってる時のセリフや」

🍸マスター
「景色が変わるって、
劇的ちゃうんやな」

🍷バッカス
「せや。
カメラの角度が2ミリ動いた感じや」

🍸マスター
「2ミリ…」

🍷バッカス
「せやけどな、
戻ろうとしても元の画角には戻らん」

🍸マスター
「ワシ、
気づいたら毎回
“前の画角どこやったっけ”
ってなってる」

🍷バッカス
「それはただの老眼や」

🍸マスター
「ちゃうわ」

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🕐 AM 1:23🍶 かなり酔っ払い
──身体が先に知ってる夜──

(カウンターの端。
いつもより早めに飲み終えるゲスト)

👤ゲスト
「正直、
まだ怖いです」

🍸マスター
「ほう」

👤ゲスト
「でも、
前より
怖さの種類が変わりました」

🍷バッカス
「それや」

🍸マスター
「どう変わった?」

👤ゲスト
「“やらん後悔”より、
“やってる途中の不安”に
変わった感じです」

🍷バッカス
「ちゃんと前におる証拠や」

🍸マスター
「戻りたい気は?」

👤ゲスト
「……あんまり」

🍷バッカス
「一歩はな、
戻り道を細くする」

🍸マスター
「ワシ、
戻り道太いまま生きてきたから、
たまに迷子なる」

🍷バッカス
「それは一歩やなくて、
寄り道や」
 
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🕒 AM 2:58🥴 泥酔
──一歩の正体が分かる夜──

🍸マスター
「なぁバッカス、
一歩って、
何を変えたんやろな」

🍷バッカス
「世界ちゃう」

👤ゲスト
「自分ですか?」

🍷バッカス
「せや。
“自分を信用する量”が
ちょっと増えただけや」

🍸マスター
「それが景色に出るんやな」

🍷バッカス
「今日の処方箋はこれ👇
“変わった景色を、言葉にせんと歩き続けろ”」

👤ゲスト
「言葉にせんで?」

🍷バッカス
「言葉にすると、
元に戻そうとするからな」

🍸マスター
「深夜らしいな」

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🌙 追記(帰り道)
ゲストは店を出て、
いつもの角を曲がる。
ただそれだけ。

でも、
歩幅が一定で、
足取りに迷いがない。

マスターは最後の氷を捨てながら思う。
――景色が変わる瞬間は、
だいたい静かや。

ワシもな、
変わったことに気づくの、
いつも後からや。
しかも気づいた頃には、
もう戻れん距離まで来てる。

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