📖『ちゃんとやめたら、ちゃんと進んだ夜。』 14夜

🍸 BAR PRIMO 夜話──深夜0時の処方箋
副題:『やめるのが遅れて、遠回りする人生もある。』

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🕛 冒頭ナレーション
深夜0時すぎ。
何かを「始める」より、
何かを「やめる」方が
ずっと勇気がいることに気づく時間。

答えは出てへん。
でも、背中に背負ってた荷物が
一個減った気がする夜。

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🕛 AM 0:07🍺 酔っ払い
──やめた話が出る夜──

🍸マスター
「なぁバッカス、
最近な、
“やめました”って報告する客、
増えてきたわ」

🍷バッカス
「ほう。
何をや?」

🍸マスター
「無理な付き合いとか、
合わん仕事のやり方とか、
期待される役割とか」 

🍷バッカス
「ええやん。
大人の決断や」

🍸マスター
「でもな、
本人らは口そろえて言うねん」

🍷バッカス
「何て?」

🍸マスター
「“やめたら進まれへん気がして…”って」

🍷バッカス
「逆やのにな」

🍸マスター
「せやろ?
止まってた原因、
だいたい“やめられへんこと”や」

🍷バッカス
「人はな、
始めるより
続けてることの方に縛られる」

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🕐 AM 1:23🍶 かなり酔っ払い
──本音が静かに出る夜──

(カウンターの端。
ゆっくり飲む女子一人客)

👤ゲスト
「今日、
ちゃんとやめてきました」

🍸マスター
「ちゃんと?」

👤ゲスト
「はい。
勢いじゃなくて、
ちゃんと考えて」

🍷バッカス
「それ、
めちゃくちゃしんどかったやろ」

👤ゲスト
「しんどかったです。
でも…
なんか今、静かです」

🍸マスター
「罪悪感、残ってへん?」

👤ゲスト
「あります。
でも、前より呼吸が楽で」

🍷バッカス
「それな、
“前に進んだ証拠”や」

👤ゲスト
「え?」 

🍷バッカス
「人はな、
進む時ほど派手にならん。
静かになる」

🍸マスター
「バタバタしてる時は、
だいたい同じ場所走ってるな」

👤ゲスト
「やめたら、
空白ができるのが怖かったんです」

🍷バッカス
「空白はな、
次が入ってくる余白や」

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🕒 AM 2:58🥴 泥酔
──覚悟が言葉になる夜──

🍸マスター
「なぁバッカス、
“ちゃんとやめる”って、
何が一番大事なんやろ」

🍷バッカス
「理由を言えることや」

👤ゲスト
「理由…」

🍷バッカス
「逃げやなくて、
選択としてやめた時、
人は進む」

🍸マスター
「今日の処方箋は?」

🍷バッカス
「これだけ👇
“今日は一個だけ、
もう要らん役割を外せ”」

👤ゲスト
「役割…」

🍸マスター
「ええ人、とか
我慢強い人、とかやな」

🍷バッカス
「外した瞬間、
ちゃんと自分が前に出てくる」 

🍸マスター
「相変わらず、
地味やな」

🍷バッカス
「人生は、
地味にしか進まん」

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🌙 追記(帰り道)
女子は会計を済ませ、
深く一礼して店を出る。
背中は軽い。
派手さはない。

でも歩く速さが、
さっきより少し一定や。
マスターは灯りを落としながら思う。

――ちゃんとやめた人は、
だいたい静かに進み始める。
ワシもな、
やめるの遅れて
遠回りしたこと、
山ほどある。

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