
🍸バープリモ劇場
『幸せの歩き方』
(ナレーション)
深夜2時をまわった大阪ミナミ。
ひと気のないビルの6階に、
まだ灯りのついているバーがある。
名前は「BAR PRIMO」。
今日も、カウンターには
いろんな“心の荷物”が並んでいる──。
—
(グラスを拭く音)
●ナナ(36歳・事務OL、今日も仕事帰り)
「マスター、“幸せだ〜幸せだ〜”って
言うてたら、ほんまに幸せになるって……
あれ、ホンマやと思う?」
○マスター(淡々と)
「ナナちゃん、そう言いながら、
今めっちゃ不安な顔してるで。」
●ナナ(苦笑い)
「いやもう……正直、
しんどいこと多すぎて、
“幸せ”って言うの、
ちょっとウソついてる気すんねん。」
○マスター
「ええやん、ウソでも。
“幸せや〜”って口にするんは、
未来の自分に
声かけてるようなもんやで〜。」
──そこへ、ユカリ
(34歳・スピリチュアル迷子)
スパンコールのバッグで登場。
●ユカリ(テンション高め)
「こんばんは〜!マスター!
今日も“幸せだ〜幸せだ〜”
って言うてきたで〜!」
○ナナ(小声で)
「また言うてるわ……」
○ユカリ(自分でドリンク作りながら)
「でもな、不思議やけど、確かに、
“幸せだ〜”って言ってると、
なんか“幸せ側の視点”で
物見るクセつくねん。」
●ナナ
「……たとえば?」
●ユカリ
「上司に怒られてもな、
“うわ、この人、完全に
昭和の熱血ドラマ残ってるやん。
金八か思たわ”って思えるし、
電車で押されても、
“おぉ〜今日も
人気力士に囲まれてる気分や〜。
“わ、今日も人気者やな、
私”って思えるし。」
○マスター
「発想が昭和のまま時空超えてるやん。
もはや“ポジティブっていうより、
妄想力で生きてる系”やな。」
──そこへ、カズオ
(45歳・悟り系常連)がふらっと登場。
●カズオ(コート脱ぎながら)
「“幸せや〜”って口に出すのは、
“道をつくる儀式”やと思うで。」
●ナナ
「えっ 儀式……?」
●カズオ
「あとから振り返ったときに、
“あの頃、幸せって言ってたな〜”
俺って最高!なんて思えたら、
その時点で“過去が幸せ”になるやんか。」
○マスター(うなずきながら)
「カズオ最高!確かに“幸せ”って、
“振り返り機能”があるねんな〜。
前向いてると気づかんけど、
後ろにちゃんと
“幸せ道”できてたりする。」
●ユカリ(ハッとして)
「え、それめっちゃ好き!
“幸せの道”って、
前に前に…作っていくと思ってたけど、
後ろにできるもんなんやな〜」
●ナナ
「それってつまり……
“今しんどい”時でも、
“幸せだ〜”って言うてたら、
あとでそれが…
道になってるってことか?」
○マスター(カクテルを差し出しながら)
「せや。しんどい時にこそ
“幸せだ〜”って言うんは、
“未来の自分のために、
道しるべ置いとく”や!知らんけど…w」
●ナナ(グラスを受け取りながら)
「……ほな、ちょっと声小さめに言うわ。
“幸せだ〜”って。」
○カズオ(ニヤッと)
「その声のトーンでも、道一本できるで。」
●ユカリ(大きな声で)
「幸せだ〜〜〜!!!」
○マスター(にやにやしながら)
「声デカすぎて、道やなくて、
国道できそうやな。」
(全員、笑いながらグラスを合わせる)
—
🌱ナレーション
「幸せだ〜」と口にするたびに、
それはまるで、
歩いた道に小石を置くようなもの。
目の前は暗くても、
あとで振り返ったときに、
ちゃんとその足跡が光ってることがある。
今は見えなくても、
口ぐせのように“幸せだ〜”と
言ってた人の後ろには、
いつしか“幸せの道”ができているのだ〜🤣
—
📻 エピローグ:深夜3:11、閉店後のPRIMO
店の灯りが落ち、
グラスが片づけられたあと──
マスターがひとり、
ジャズの音にまぎれて、
ぽつりとつぶやく。
○マスター(小さな声で)
「……幸せや〜、幸せや〜……
ああ、誰か横で“幸せや〜”
って返してくれへんかなぁ……」
──でもその声もまた、
きっとマスターの後ろに、
ひとつ“あたたかい道”が…😁
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#今日も誰かの幸せが始まる場所
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