🍸 バープリモ劇場 第5話
『リサ、オファーを受ける!?
それ、まさかの場所から…』
(舞台:バープリモ。2回目のお菓子教室も大盛況だった週末の夜)
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○ マスター(グラス磨きながら)
リサちゃん、ええ顔してるなぁ。
最近ご近所さんに「米粉の人」
って呼ばれてるで。
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● リサ(照れ笑い)
やめて〜!
“米粉の人”って、なんか粉っぽいやん…
せめて“こめこ女子”とか言ってほしいわ〜!
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○ マスター(ニヤリ)
……なんかそれ、
昆虫図鑑に出てきそうやな。
「コメコジョシ科・夜行性」みたいな(笑)
……でも、ええやん。“名前が残る人”って。
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📞(そのとき、店の電話が鳴る)
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○ マスター(受話器を取りながら)
はい、バープリモです〜……
え? 米粉のお菓子教室のことで?
あ、ちょっと待ってください。
リサちゃーん!
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● リサ(受話器を受け取り)
はい、リサです──
えっ、北加賀屋小学校さん!?
……え、子どもたちに米粉の
お菓子を教えてほしい?
……テレビも入る⁉ まじですか!?
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○ マスター(ニッコリ)
ふふふ……ええやん。
夢ってな、誰かに「ええやん」
って言われたとき、
急に走り出すんやで。
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📷(後日。小学校の家庭科室。
カメラが回るなか)
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● リサ(エプロン姿で)
今日はね、「失敗しても大丈夫」
って日です!
焦がしても崩れても、
堂々と言ってください!
「これが米粉の個性です」って!(笑)
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👦 子どもA
せんせー、粉まみれなった〜!(笑)
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● リサ
OK! それは“未来の米粉職人”って証やで〜!
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👧 子どもB
これ、焦げたけど…なんか香ばしくて好き!
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● リサ(うれしそうに)
それは、“失敗からしか生まれへん味”やな。
ええ発見したで〜!
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🎥 カメラマン(小声で)
……この人、編集いらんやつやな。
素材だけでじゅうぶん持つタイプ。
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🌙(その夜、バープリモにて)
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● リサ(放心状態で)
あぁ〜…夢って、
ほんまに動き出すことあるんやな……
でも、なんでやろ?
本番あんまり緊張せんかった。
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○ マスター(グラスを拭きながら)
そらな、身体のどっかが
分かってたんやと思うで。
「コツコツ仕込んだ準備が、
緊張を飛ばしたんや!」
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● リサ(しみじみと)
準備って…そんな魔法みたいなもんなん?
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○ マスター(ふっと笑って)
魔法っていうより、地味な特訓やな。
ワシも昔、自分のイベントで
空回りばっかりやったけど……
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● リサ
え、マスターにもそんな時代あったん?
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○ マスター(懐かしそうに)
あったよ〜。
ファッションショーの裏方やっとってな。
モデルのヒールが折れたら、
針金で応急処置。
チャックが壊れたら安全ピンで留めて、
次のルックまで30秒しかないのに、
「パンプスどこ行った!?」
ってバックステージで鬼ごっこや(笑)
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● リサ(笑いながら)
うそやん!ショーって、
もっと優雅な世界かと思ってた!
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○ マスター
見えてるとこだけが全部ちゃう。
あの世界、スポットライトの下より、
暗がりで走るやつらのほうが多いねん。
誰にも見られへん、褒められへん、
けど……やめられへんかった。
たぶんワシも、「誰かの“ありがとう”」
がほしかったんやろな。
いや、ボクに気づいて欲しかってん!(笑)
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● リサ(目を潤ませて)
うわー…また泣きそう。
泣いたらマスカラ溶けて、
“闇こめこ女子”になってまう〜!
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○ マスター(笑いながらグラスを差し出す)
ほな、泣く前に乾杯や。
よう頑張ったな。
ワシも、なんか
昔の自分を見てるみたいやったわ。
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🥂(グラスを合わせて乾杯)
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📝(リサのモノローグ風に)
夢ってな、「紙に書く」までは勇気、
「一歩踏み出す」には、
もっと深い覚悟がいる。
でも──
マスターみたいに、
誰にも気づかれへん裏方で、
転びながらも動き続けた足にだけ、
ほんまの“根”が育つんやと思う。
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トレンドの最前線で輝く人ほど、
人知れず“仕込みの時間”を重ねてきた。
地味で地道な努力?いや、好きだから!
リサのどら焼きも、ただのお菓子やない。
人を喜ばすことが好きだから…
そして──
「がんばれ」や「努力しろ」だけじゃ、
人はなかなか動けない。
でも、「やめとけ」と言われても、
寝ずにでもやりたくなることがある。
それが、自分の中にある“タネ”。
誰に言われなくても水をやりたくなる、
そんなタネを、
自分の心にそっとまいてみて。😁
それが、やがて自分だけの
“夢の根”になるから。🌱