バープリモ劇場「過去は変えられる？」

🍸バープリモ劇場
「過去は変えられる？」

静かな夜。
閉店間際のカウンターに、
ぽつりと座るサエコさん。

ちょっと笑えて、
ちょっとドキッとして、
最後はなんだか心があったかくなる。

『バープリモ劇場』、
はじまりはじまり。

●サエコ
「マスターってさ、いつも穏やかよね。
過去のことで悩んだり…しないの？」

◯マスター
（手を止めずに微笑みながら）
「いやいや、ありますよ。山ほど。
でも最近ちょっと
考え方が変わってきましてね。」

●サエコ
「へぇ、どんなふうに？」

◯マスター
「未来は変えられへんけど、
過去は変えられるって
思うようになったんです。」

●サエコ
「え、それ逆じゃない？
“過去は変えられない、
でも未来は変えられる”って言うじゃん。」

◯マスター
「そう。昔は僕もそう思ってました。
でもね、未来って案外、
思いどおりにならへん。

それよりも、“過去”のほうが、
自分の“解釈”で
変えられると思うんです。」

●サエコ
「……解釈ねぇ。」

◯マスター
「たとえば、昔の失敗。
『あの経験があったから今がある』
って思えたら…
もうそれって、
失敗じゃなくなってるでしょう？」

●サエコ
「あ〜なるほど。
“意味”が変わるってことか。」

◯マスター
「そう。
黒だと思ってた出来事も、
見方を変えれば白に裏返るかもしれない。
オセロみたいに。」

●サエコ
（ふっと笑って）
「なにそれ、名言っぽい。
録音しとけばよかった。
マスター、
今日ちょっとカッコいいじゃん〜笑」

◯マスター
「からかってます？（笑）
でも、そうやって過去をひっくり返せたら…
人生ちょっと楽になる気がするんです。

イヤな過去にフタをしたままじゃ、
楽しい未来なんて来ない気がして。」

●サエコ
「…惚れそう〜笑」

◯マスター
「ありがとう（笑）
でもほんま、そうやって
過去をめくってるうちに、
気づいたら
ええ未来が来てたりするんですよ。
…知らんけど。笑」

（そのとき、ふと流れる
ジャズのリズムに乗せて、
マスターが小さく鼻歌）

◯マスター
「♪やっぱ好きやねん〜
やっぱ好きやねん〜」

●サエコ
「ちょ、急に何！（笑）」

◯マスター
（ちょっと照れながら）
「すみません、昔の歌がつい…
僕もまだまだ、
過去を引きずってるみたいで。」

●サエコ
「あはは！マスターも人間やったんや〜。
なんか安心した。」

◯マスター
「過去を変えるのも、修行中なんですよ。」

（二人の笑い声が、
夜の静けさにふわりと溶けていく）

黒だと思ってた記憶も、
裏返していけば、
いつか白に変わるかもしれない。
オセロみたいに、ね😊