
🍸 酔っぱらいの神さまがいる店。
──BAR PRIMO 夜話 2
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🪞 導入文
「なんで私って、こんなアカンのやろ。」
できてないとこばっかり目について、人と比べて、また勝手に落ち込んでしまう。
気づけば。
できたこと全部スルーして、
アカンとこだけ拡声器で流してる。
そんな夜、ありますよね。
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📢 ナレーション
大阪ミナミ、深夜0時。
雑居ビルの上のほう。
氷がカランと鳴るたび、
今日もしんどかった人の本音が、
グラスの縁まで上がってくる。
BAR PRIMOのカウンターの端では、
神さまがポテチを皿に戻していた。
一回落としたやつや。
まあ、この店ではそういう細かいこと気にしてたら朝になる。
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🎭 会話劇
👤 ゲスト
「私、めっちゃ自分にダメ出ししてまうんです…」
🍷 バッカス
「それな。」
一拍。
「でもな。」
「お前、自分の人生の客席でヤジ飛ばしてる客や。」
👤 ゲスト
「え…どういうことですか?」
🍸 マスター
「しかもまあまあ声でかいやつやな」
🍷 バッカス
「舞台に立ってるお前はな。」
「今日もしんどいなりに起きて、考えて、悩んで、なんとか生きとる。」
一拍。
「せやのに客席のもう一人のお前が。」
「“下手くそ。”“なんであそこでミスしたん。”“あんなんちゃうやろ。”」
👤 ゲスト
「うわ…言ってる…」
🍸 マスター
「舞台見に来てるくせに、
一回も拍手せえへんどころか、終わってから文句だけ言う客やな」
🍷 バッカス
「しかもな。」
一拍。
「終わった場面にしか文句言わん。」
👤 ゲスト
「……」
🍷 バッカス
「“あの時ああしたらよかったやろ。”“なんであれ選んだん?”“もっと上手くできたやろ。”」
一拍。
「全部、終演後に言う。」
👤 ゲスト
「たしかに…」
🍸 マスター
「後出しジャンケンだけ、プロ級に強いタイプや」
🍷 バッカス
「そら強いわ。」
一拍。
「終わってからなら、誰でも名監督や。」
👤 ゲスト
「……」
🍷 バッカス
「ほんでまた次の日も来てな。」
「同じ席座って、同じ顔して、同じテンションでヤジ飛ばす。」
👤 ゲスト
「いやな常連…」
🍷 バッカス
「せや。」
一拍。
「お前、自分イジメの常連客おるねん。」
👤 ゲスト
「いややなぁそれ…笑」
🍸 マスター
「出禁にしたいな」
🍷 バッカス
「ほんまそれ。」
一拍。
「しかもな。」
「そのヤジ客、できてること一個も見てへん。」
👤 ゲスト
「……」
🍷 バッカス
「今日できたこと10個あっても、ミス1個だけ見つけて。」
一拍。
「“はい全部ダメー”言う。」
👤 ゲスト
「極端すぎる…笑」
🍸 マスター
「98点取って2点で号泣するやつやな」
🍷 バッカス
「せや。」
一拍。
「ほんでそのヤジ客が比べてる相手、誰や思う?」
👤 ゲスト
「え…?」
🍷 バッカス
「理想の自分や。」
👤 ゲスト
「……」
🍷 バッカス
「でもな。」
一拍。
「その理想、だいたい存在してへん。」
👤 ゲスト
「え?」
🍸 マスター
「存在せんのかい」
🍷 バッカス
「せえへん。」
「“完璧な私”っていう幽霊や。」
「寝坊せえへん。落ち込まへん。ミスせえへん。人と比べへん。」
「しかも肌ツヤもええ。」
👤 ゲスト
「最後いらん情報です笑」
🍷 バッカス
「せやろ。」
一拍。
「幽霊や。」
「見えてる気するだけで、触られへんやつ。」
👤 ゲスト
「……」
🍷 バッカス
「お前、毎日その幽霊と勝負してる。」
👤 ゲスト
「……そらしんどいですね」
🍷 バッカス
「そらしんどい。」
(氷がカラン。サックスが夜をやさしくなでる)
🍷 バッカス
「せやからな。」
一拍。
「自分にダメ出ししたくなったら、まず思え。」
一拍。
「またあのヤジ客、来とるわ。」
「今日もチケット持たずに入ってきよった。」
👤 ゲスト
「客として見るんですね」
🍸 マスター
「ちょっと距離とれるな」
🍷 バッカス
「そうや。」
「それを“ほんまの自分の声”や思うから、全部まともに食らうねん。」
一拍。
「でもただの嫌な客やと思ったら。」
「ちょっと扱い変わるやろ。」
👤 ゲスト
「たしかに…ただの嫌な客かもしれないですね」
🍷 バッカス
「ただの嫌な客や。」
一拍。
「しかも金払わんタイプや。」
🍸 マスター
「最悪やな」
👤 ゲスト
「あははは」
🍷 バッカス
「ほんで最後にな。」
一拍。
「舞台立ってるお前に、一回くらい拍手したれ。」
👤 ゲスト
「拍手…」
🍷 バッカス
「今日もちゃんと来た。今日もなんとか生きた。今日もようやった。」
一拍。
「それだけで、今日はもう負けてへん。」
👤 ゲスト
「……なんか、泣きそうです」
🍸 マスター
「酔いとるだけかもしれんけどな」
🍷 バッカス
「まあそれも込みや。」
一拍。
「厳しすぎる採点より。」
一拍。
「続けられる甘さのほうが、役に立つ日もある。」
👤 ゲスト
「……じゃあ今日、自分に一個だけOK出します」
🍷 バッカス
「ええやん。何にする?」
👤 ゲスト
「ちゃんとここに来たことに」
🍷 バッカス
「満点や。」
🍸 マスター
「採点あまっ」
🍷 バッカス
「それでええねん。」
一拍。
「ミナミの夜はな。」
一拍。
「自分に厳しすぎる人ほど、よう酔う。」
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🫧 エピローグ
自分を変える前に、
自分を責める声からちょっと距離をとる。
それだけで、
ちょっとだけ、自分とケンカせんで済む夜になる。
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🥃 マスターのひとことメモ
自分への拍手は、周りに引かれるくらいでちょうどええ。
知らんけど…😁
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🏷️ ハッシュタグ
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