
🍸バープリモ劇場
『夢とサボテンとビールの泡』
〜テーマ:「夢と種まきの法則」〜
(ナレーション)
舞台は、大阪ミナミの片隅にある小さなバー、PRIMO。時計の針は、日付が変わって少し経った頃。
ジャズが静かに流れ、夜の帳(とばり)がそっと降りる。カウンターには、今夜もひとりの常連が腰をおろす。
🎷BGM:深夜0時過ぎ。ジャズピアノが静かに流れる。
(グラスの音)
●リサ(ため息まじりに)
「はぁ……マスター、聞いてぇな……ここ数年のうちの人生、 冷蔵庫の奥で忘れられたプリンみたいやねん。」
(くるくるとグラスを回しながら)
「夢はな、あるんよ?“米粉のお菓子教室の先生”になって、アレルギーのある子どもに、『えっ、これ食べてええの!?』 って言わせたい。」
「でも現実は……仕事終わったらとりあえずビール開けて、気ぃついたらSNSだらだらしてて、 寝るの2時。
朝はギリギリに起きて駅までダッシュ。
週末はずーっと布団と一体化。
……もう、なんしてんやろな、うち。」
○マスター(グラスを磨きながら)
「……リサちゃん、サボテンって育てたことあるか?」
●リサ(苦笑い)
「え、なに急に?サボテン? 話飛びすぎやろ(笑)」
○マスター(ふふっと笑って)
「サボテンはな、ほっといても“そこそこ”は育つんよ。でもな、花咲かせよう思たら、そない簡単にはいかへん。」
「水もやらなあかんし、光にも当てなあかんし、たまには声もかけたれ。応援ソングがあってもええな(※気分や)。
……せやけど、咲くまでには年単位や。」
「夢もな、ビールの泡みたいに“ぷしゅっ”とは咲かへんのや。」
●リサ(じわじわと笑いながら)
「そのたとえ、まあまあややこしいなぁ(笑)」
○マスター(にやりと)
「人生もたまには、ぐいっとカーブ曲がらな。直線ばっかりやと、行きたいとこ、逆に通りすぎてまう。」
●リサ
「せやけどさ、“とにかく動け”ってよう言うやん?でも、どこに?どうやって?
ってなるやんか。」
○マスター(少しトーンを落として)
「ええこと教えたる。夢ってな、“言うてるだけ”やったら、ただのホラや。でも、“ちょっとでも動いた瞬間”から、それはもう“予定”や。」
●リサ(きょとんとして)
「予定……?」
○マスター
「たとえば『ハワイ行きたい』って言うてるうちは夢やろ?
でも航空券ポチったら、それ、もう“予定”や。出発する日はまだ遠くても、
もう動き出してる。」
●リサ(はっとして)
「うわ、それ、なんか腑に落ちた。」
○マスター
「せやから、リサちゃんも、“米粉教室への旅”のチケット、一枚でええ。本買うでも、インスタ始めるでも、今ここで『やる』って言うでもええ。」
「『いつか』を、『今なにする?』に変える。それだけで、夢ってグッとこっち向いてくる。」
●リサ(照れながら)
「……ほな、とりあえず、 米粉、買うわ。」
○マスター(にっこり)
「それや!それが“夢のタネ”や。明日から、水、ちゃんとやるんやで。」
「バーのカウンターで芽ぇ出た夢。ちょっと、ええやろ?」
●リサ(うなずきながら)
「うん。“私の夢は、あのバーから始まったんです”って言えたら、なんか、かっこええな。」
○マスター(グラスを差し出して)
「ほんで花咲いたらまた来てな。サボテンが咲いたら……そらもう、乾杯や。」
●リサ(にっこり)
「そのときはビールちゃうで? 米粉マフィン、持ってくるわ!」
○マスター(どや顔)
「ほんならワシ言うねん。“泡立てるのは生地だけにしときや〜!”ってな〜🤣」
(カウンターに笑いが広がる。グラスが軽やかに鳴り、夜が少しあたたかくなる。)
—
🌱「夢と種まきの法則」🌱
(ナレーション)
夢は、ただ見ているだけでは咲かない。タネをまき、水をやり、光に当て、雑草を抜く。
地味でコツコツしたその繰り返しが、いつか「これ……芽っぽい?」という小さな変化を運んでくる。
そう信じて、今日も世話をしていくのです。
📻 エピローグ:深夜2時、
BAR PRIMO閉店後——
(ナレーション)
店の明かりが落ち、静けさに包まれたカウンター。マスターがひとり、誰もいなくなったグラスを片づけながら、ぽつりとつぶやく。
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○マスター
「……さて。ワシも、なんかまくか。」
(棚の隅の植木鉢にある、ちいさなサボテン。そこに、ほんのひとしずく水をそえる。
○マスター(ぼそっ)
「……でもまあ、この歳で“ギターの練習”始めたもんの、チューニングで心折れてる時点で、まだタネすら握れてへん気もするけどな……」
(静かに灯りが消え、夜のまんなかで、小さな芽がそっとふくらんだような気がした。)
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